帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宇宙指令M774」

「宇宙指令M774」
ウルトラQ』制作第19話
1966年5月22日放送(第21話)
脚本 上原正三
監督 満田かずほ
特技監督 的場徹

 

ルパーツ星人ゼミ
身長 160cm
体重 45kg
地球防衛が使命で宇宙指令M774によりルパーツ星から来た。
最初は人形等を使ってキール星人の地球征服を警告したが地球人に信じてもらえなかったので地球に来て直接説明する事となった。
本名はゼミだが一条貴世美と言う地球用の名前も持ち、キール星人の地球征服を阻止した後は地球人として生きていくと語った。
ウルトラシリーズ初の宇宙人で、宇宙船の登場もウルトラシリーズ初。その他にも地球人の味方をした宇宙人、地球に移住した宇宙人、個人名が付けられた宇宙人等、様々なウルトラシリーズ第1号となっている。

 

キール星人
地球征服の為にボスタングを送り込んだ。
ウルトラシリーズ初の侵略宇宙人、怪獣を操った宇宙人等々。

 

宇宙エイボスタング
身長 50m
体重 1万t
キール星人が地球征服の為に送り込んだ怪獣。
卵の状態で海底に落下し、孵化してタンカー船を襲撃した。音に敏感で音を頼りに標的を襲う。
巡視船との戦闘中に戦闘機からのミサイル攻撃を受けて爆発した。
ウルトラシリーズ初の……、あれ? 無いや。
制作中止になった「OiL S.O.S」に登場予定だったクラプトンの操演用モデルを改造している。

 

物語
由利子達はゼミと名乗る宇宙人から怪獣ボスタングが地球に侵入したと警告を受ける。
その警告を信じられない万城目達であったが……。

 

感想
宇宙人の存在はゼミで、宇宙人が怪獣を操っている事はボスタングで、地球人の知らない宇宙のルールについては宇宙指令M774でと「宇宙からの贈りもの」と「ガラダマ」で提示された宇宙に関する謎に一つの答えが出されている。

 

宇宙の平和を守る為に努力していて、地球防衛を使命としているゼミの設定は『帰ってきたウルトラマン』以降のウルトラマン達を思わせる。ゼミの話を信じなかったのに実際に怪獣が出ると「あんた宇宙人なんだろう? あの化け物をやっつける事は出来んのかね?」と突っかかってきた航海士を見ると、ウルトラマン達が地球では自分達の正体を隠している理由が分かる。

 

冒頭の船の場面で一平が由利子に「夜道はフカ(鮫)が出る」とからかっている。この後に出るボスタングはエイの怪獣だったが鮫の怪獣でも面白かったかなと思う。(鮫の怪獣なら巡視船と旅客船がエンジンを停止してボスタングをやり過ごそうとする場面で背びれを効果的に使えそうだ)

 

宇宙からの贈りもの」に登場したナメゴンは塩水に弱いので海では活動出来なかったが、今回登場したボスタングは海を活動の場としていた。

 

操縦訓練で一平の腕が上達している事が描かれている。
連続性が薄いと言われる『ウルトラQ』だが、制作順に見ると前の話を踏まえた展開がある事が分かる。

 

ゼミは地球人が自分の警告を信じなかった事を残念がるが、拾われた人形や無人の店のジュークボックスを使っていきなり話し始めると言う地球人が戸惑う方法を採ったゼミにも問題があったと思う。

 

ゼミが警告を伝える相手に万城目達を選んだ理由だが、万城目達は過去に何度か宇宙人絡みの事件に関わっているので他の地球人に比べて自分の話を信じてもらえると考えたのかもしれない。

 

宇宙指令M774を終えたゼミはこれからは地球人としてこの美しい星に住む事になると語り、さらに「この地球には私と同じように地球を守る為に宇宙から来てそのまま住み着いた人がたくさんいるんです。昔から、たくさんの宇宙人が来ました。あの人も、あの人も、あの人も……。あなたの隣の方、その人も宇宙人かもしれませんよ」とTV画面に向かって告げる。
「地球を守ってくれた人がそのまま地球に留まり続ける」と言うヒーローらしい展開を「自分のすぐ近くにいる人が実は別の星から来た未知の存在だった」と言うホラータッチな結末に変えていて、この捉え方はウルトラマンと言う「別の星から来たヒーロー」と言う概念が確立された後のウルトラシリーズではあまり見られないものとなっている。

 

宇宙から来て地球に住む事になった人達は全員が同じサンダルを履いていた。
今の時代だとピアスとかになるのかな。

 

今回の話は金城さんと同じ沖縄出身の上原正三さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。