帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宇宙からの贈りもの」

「宇宙からの贈りもの」
ウルトラQ』制作第5話
1966年1月16日放送(第3話)
脚本 金城哲夫
監督 円谷一
特技監督 川上景司

 

火星怪獣ナメゴン
身長 30m
体重 1万t
火星から帰還した宇宙ロケットのカプセルに卵の状態で入れられていた怪物。熱せられると卵が巨大化して孵化する。
目から怪光線を放って人間を硬直死させる。
塩水で溶けてしまい、1匹目は海に落ちて溶け、2匹目も一の谷博士に塩水を用意された。
名前の由来は「ナメクジ」かな。
モスラ対ゴジラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』の幼虫モスラの装置が使われている。

 

物語
火星で消息不明になった宇宙ロケットのカプセルが地球に戻って来た。
実はカプセルの中には宇宙怪獣の卵が入れられていたのだった!

 

感想
ウルトラシリーズ初の本格怪獣となるナメゴンが登場。この話を受けて『UNBALANCE』は怪獣作品へと路線変更する事となった。

 

一の谷博士はナメゴンが地球に送り込まれた事から宇宙人の存在とそれら宇宙人達によって大宇宙のルールが既に確立されている可能性を述べる。
「地球人はその大宇宙の仲間に入る事が出来るのか?」と言う話はウルトラシリーズでは何度か取り上げられる事となる。

 

冒頭で万城目と由利子は「地球が平和だから新聞社もネタ切れ」と話していたが、ナメゴン事件を通して、戦争や人種差別や人身売買がまだ行われている地球では大宇宙の仲間に入る資格が無い、仲間に入るには地球が平等で平和な星にならなければいけないと地球の現状を捉え直す事となる。
このように特殊な事件を通して登場人物や視聴者の認識を変えるのがSF作品の面白さ。

 

地表の7割を海が占める地球に塩水に弱いナメゴンが送られたが、おそらくこれは宇宙人の目的が地球人に対する「威嚇・警告」であったからだろう。
エンディングナレーションでは地球人が宇宙人からの威嚇・警告を無視して宇宙開発競争を続けたら今度は海水を飲んで大きく強靱になる怪物が送り込まれるに違いないと語られている。地球の地表の7割を占める海によって強くなる怪物を送り込まれたら地球人は対処のしようが無い。
地球人は地球上での政治的実権を握る為の宇宙開発競争は止めて、きちんと宇宙に目を向けなければならない。これは当時のアメリカとソビエトの間で行われた宇宙開発競争への批判と言える。

 

あけてくれ!」では万城目と由利子から外される格好となった一平だが、今回は万城目に内緒でペンダントを用意して由利子にプレゼントしている。