帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「タイムマシンを乗り越えろ!」

「タイムマシンを乗り越えろ! ータイム超獣ダイダラホーシ登場ー
ウルトラマンA』制作第46話
1973年2月16日放送(第46話)
脚本 石堂淑朗
監督 古川卓己
特殊技術 田淵吉男

 

タイム超獣ダイダラホーシ
身長 55m
体重 3万t
足窪村の上空になる次元の穴を通って過去から現代に現れた超獣らしい。奈良時代では畏れられていたが現代では祀られている。
口から火を吐く。エースとチャンバラで対決する。死んだ振りでエースの隙を突くが結局はエネルギー光線で倒された。
日本に古来から伝わる伝説の巨人「だいだらぼっち」がモデル。

 

物語
突然現れては姿を消すダイダラホーシに翻弄されるTAC。
実はダイダラホーシは過去と現代を行き来していたのだ。

 

感想
『A』の中でも「復活! ウルトラの父」と「パンダを返して!」に並ぶ異色作。高峰圭二さんと瑳川哲朗さんの「たまには馬に乗ってチャンバラをしたい」と言う意見が実現した話らしい。
今回の撮影に使われた馬が慣れない弾着の音でノイローゼになってしまい円谷プロは後で怒られたらしい。実際に見ると爆発シーンで馬が驚いているのが分かる。

 

今回は『A』の中でも特に扱いが大変な話。
まずダイダラホーシは何者なのか?
ぶっちゃけ、劇中にあるように日本古来の伝説の巨人としたいが、一応は「超獣」と言う肩書きがあるのでヤプールと何らかの関係があるのだろう。
ダイダラホーシには愛嬌があり、他の超獣に比べて生物兵器と言うより自分の意思を持った生物に感じられる。おそらく大昔にヤプールが作ったが、自分の意思を持つダイダラホーシはヤプールの下から逃げてしまい、その後、逃げた先で伝説の巨人「だいだらぼっち」になったのだろう。

 

ダイダラホーシはいつも同じ場所でタイムスリップしていたので、実はダイダラホーシ自身にはタイムスリップの能力は無くて、次元の穴を見付ける能力を持っていたのだと考えられる。
途中で過去にいる吉村隊員から現代に通信が届くが、これはダイダラホーシが何度も過去と現代を行き来したので次元の穴が完全に塞がらなくなって、そこを電波が通ったのかもしれない。

 

タイムマシンの試作第1号があると言う驚愕の設定。しかもウサギを5年前に送る実験が行われているらしい。「逆転! ゾフィ只今参上」で人間は異次元に突入する事に成功しているが、タイムスリップまで出来るようになるとは人間の科学力は大したものだ。この調子で行ったらいつかヤプール並みの科学力を手に入れていそう。
ところで、研究所の所長はタイムスリップによる歴史の改変を恐れていたが、それならどうしてタイムスマシンを作っているのだろうか?

 

小枝を一本折っただけでも歴史が変わると言うのに木を根こそぎ引っこ抜いたエース。ナレーションを聞く限り歴史は大丈夫だったらしいが、何度見てもツッコみたくなる場面だ。
ひょっとしたら、エースは奈良時代に「戻った」ではなくて奈良時代に「行った」のかもしれない。いわゆる「パラレルワールド」で、ダイダラホーシやエースが通った次元の穴は過去に繋がっているのではなくて奈良時代によく似た別の世界に繋がっていたと言うわけ。

 

現代ではダイダラホーシは「ダイダラホーシ様」として神社に祀られているが、過去では足窪村の村人達がダイダラホーシや手下の赤鬼を倒そうとしていた。このかつては畏れられた怪物がやがて守り神として崇められるようになると言うのは日本の怪獣モノの基本パターンの一つとなっている。

 

今回は銃ではなくて刀を持って大立ち回りをする星司と竜隊長。お約束の「峰打ちじゃあ!」まであるのが嬉しい。
馬に跨がる竜隊長がハマっていて格好良い一方で星司は置いてけぼりをくらいそうになったりと『水戸黄門』のうっかり八兵衛のような三枚目を見せた。

 

最後に一言。
エース! 木なんか引っこ抜かずに素直にエースブレードを使ってくれ!
そうしたら、解釈や考察で苦労する事が無い話だったのに……!