帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「燃えろ! 超獣地獄」

「燃えろ! 超獣地獄 ー一角超獣バキシム登場ー
ウルトラマンA』制作第3話
1972年4月21日放送(第3話)
脚本 田口成光
監督 山際永三
特殊技術 佐川和夫

 

一角超獣バキシム
身長 65m
体重 7万8千t
空を割って異次元から現れる。普段は少年の姿をして正体を隠している。
TACの注意を引きつけた隙にTAC基地を急襲した。
鼻や手からロケットや炎を放ち、角を遠隔操作で飛ばす。
少年の時は口からロケットを撃ち、両手から赤い光線を放つ。
エースのウルトラスラッシュで首を切られて倒された。
知能が高く、自分の事を「ヤプール人だ」と言っているのでヤプールの一人を超獣に改造したものと考えられる。
宇宙怪獣と芋虫の合体生物。
名前の由来は「牙虫」を並び替えて。

 

物語
空が割れて超獣が現れると言う異常現象を目撃した夕子。
星司は事件の鍵を握ると思われる少年を追うが、少年の正体は実は……。

 

感想
今回からオープニングにある超獣紹介のテロップが変わっている。個人的には前の方が迫力があって好き。
又、TACの制服も変更され、エースのスーツもセパレートタイプから従来のタイプに戻された。

 

夕子は今回が初めての一人での出動だったのかもしれない。
バキシムを前に気が動転した夕子を叱責する山中隊員は少し厳しすぎるところもあるが、超獣を前にしてただ叫んでいるだけではTAC隊員として駄目だろう。こんな事でパニックになるようでは超獣攻撃隊は務まらない。

 

「空が割れる」と言う有名な登場をしたバキシム。「異次元」と言うものを映像で見せる事に成功した素晴らしい演出であった。

 

バキシムヤプール)は村に帰って来た孫を溺愛する老夫婦を利用した。用が済んだらあっさりと殺してしまうのが実に悪魔らしい。この時のあまりにも静かで丁寧な語り口が底知れぬ不気味さを出していた。

 

「都会のどこが良い」「村を出たら野垂れ死ぬのが関の山」「村の外は地獄」と愚痴る老人。そして老人の哀しい歌を背景に映し出される過疎の村の風景。高度経済成長時の日本が抱えていた問題がここにある。そしてこういうところにこそヤプールの付け込む隙がある。

 

夕子は最初で最後の、星司は二度目の謹慎。
まぁ、酒を飲んで戦闘機を運転したら謹慎をくらうのは当たり前。下手をすればクビだ。それなのに、その後もバイクやタックアローを運転する星司って……。(まぁ、タックアロー操縦を指示したのは竜隊長だが)

 

TACが少年を追いかける場面でかかるギターが妙に印象に残る。

 

今回のタックファルコンはタックアローを内蔵している大型戦闘機と言う設定が生かされていた。

 

迎撃装置でバキシムの侵攻を阻止しようとするTAC基地は燃える展開。
自分の責任で夕子の謹慎を解除し、皆に指示を出してバキシム侵攻を阻止しようとする美川隊員がカッコイイ。
美川隊員の携帯爆弾が初登場。梶隊員の発明は残念ながら今回も活躍出来なかった。

 

今回のエースへの変身は「フライングタッチ」となっている。

 

「子供の心が純真だと思うのは人間だけだ」。
『A』ではTACが星司やゲストの人の話を信じない展開が多いが、今回の話のようにヤプールは人間が「そんな事はありえない」と思うところを狙ってくる事が多い。