「残酷！ 光怪獣プリズ魔 ー光怪獣プリズ魔登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第35話
1971年12月3日放送（第35話）
脚本 朱川審
監督 山際永三
特殊技術 佐川和夫
光怪獣プリズ魔
身長 35m
体重 1万8千t
物質近くまで限りなく凝縮された光。
南極の氷の中に封じ込められていたが太陽黒点の変化と共に活動を開始した。オーロラから白い霧となって出現する。光がエネルギー源で昼間は太陽の光を夜間は人工の光を求めて彷徨う。
あらゆる物質を結晶体に変化させた後に光に変えて吸収する。
MATのフリーザー作戦で冷やされた後、体内に入り込んだ人間大のウルトラマンが撃ったスペシウム光線で熱膨張を起こして爆発、白い粉になってオーロラの中に消えていった。
名前の由来は「プリズム」から。
物語
船や灯台が次々と消滅する事件が起きた。
何かが日本に迫って来ていると推理した坂田さんは郷と一緒に予測地点に向かう。
感想
「光」をテーマにした話で鏡や光を使った映像が面白い。ウルトラマンとプリズ魔の光の戦いは既に異次元の雰囲気で次作『ウルトラマンA』を思わせるものとなっている。
郷と坂田さんが二人で行動するのは意外と少ない。
今回もアキちゃんが全く出てこないのは不自然だった。
次郎君は何時間も車のトランクの中にいて苦しくなかったのかな。
郷と坂田さんが出かけた時にMATがプリズ魔に襲われた人間の調査を行っていたが、郷はMATに呼び出されなかったのかな。
次郎君を助けようとして痛めていた足を悪化させてしまった坂田さん。その足でも懸命に車を運転してプリズ魔から逃げようとする。これが坂田さんの降板前最後の活躍となった。
プリズ魔の設定と倒し方は話の前半で坂田さんと次郎君の会話で示されている。その為、ウルトラシリーズの中でも特に台詞を注意して聞いていなければいけない話となっている。
時間が足りなかったせいか最後がかなり唐突になっている。出来れば坂田さんに何か締めの言葉を言ってほしかった。
「光は生物にとってなくてはならないものだが一ヶ所に集中すると非常に大きな破壊のエネルギーになる」。ウルトラシリーズでは光は人間にとって良きものと言う話が多いが、今回はその光が人間にとって脅威になると言う話になっている。
ウルトラマンは光が実体化した「光の巨人」だが、同じく光が実体化したプリズ魔はウルトラマンと対になる存在と言える。どちらも光線を武器にしているし寒さに弱いし。
今回の脚本を担当している朱川審とは坂田さんを演じている岸田森さんのペンネームである。（ただし、実際は『ウルトラマンA』の「山椒魚の呪い！」で石堂さんと一緒に脚本を担当している山元清多さんが書いたらしい）
今回の話は山際監督の『帰ってきたウルトラマン』監督最終作となっている。
