帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「必殺! 流星キック」

「必殺! 流星キック ー古代怪獣キングザウルス三世登場ー
帰ってきたウルトラマン』制作第4話
1971年4月23日放送(第4話)
脚本 上原正三
監督 筧正典
特殊技術 高野宏一

 

古代怪獣キングザウルス三世
全長 105m
体重 2万7千t
ウランが好物で第一原子力発電所を襲う。
口から放射能光線を吐く。角から展開するバリアーでスペシウム光線、ウルトラスラッシュ、フォッグビーム、シネラマショットを跳ね返すが、ウルトラマンの新技・流星キックで角を折られてスペシウム光線で止めを刺された。
元々は映像化されなかった「呪われた怪獣伝説」と言う話に登場する怪獣で名前の「三世」はその名残。

 

物語
キングザウルス三世のバリアーにあらゆる技を跳ね返されて敗れたウルトラマン
ウルトラマンが勝てないのなら俺が勝ってやる」と郷は特訓を開始する。

 

感想
当時流行したスポ根ものの展開。

 

ウルトラマンを倒した怪獣ではベムスターやブラックキングに比べてやや地味なキングザウルス三世だが恐竜ベースのデザインが渋くてなかなか格好良い。四足歩行でありながら後ろ足の膝を地面に付けていないのも良い。

 

「郷さん、このお姉ちゃんが好きになったんだろう」と丘隊員を指さして言う次郎君。アキちゃんを思っての発言だろうけれど、よりにもよってこんな場所で言うとは子供は恐ろしい。
今回の話を見ると郷を巡るアキちゃんと丘隊員の話が作られそうだが、丘隊員が郷を恋愛対象と見ていなかったからか、そういう話は作られなかった。

 

前回の「恐怖の怪獣魔境」に続いて今回の話でもアキちゃんは郷の心が自分から離れてるのではと悩むが、郷の頑張る姿を見て悩みを振り切る事が出来た。

 

帰ってきたウルトラマン』は人間ドラマを組み込んだ作品だが、ウルトラマンが人間からかけ離れた存在だとウルトラマンと人間が絡めなくなってしまうと言う問題がある。たとえば、これまでの3話はウルトラマンが登場するまではドラマがあったが、ウルトラマンが登場したらドラマが止まっていた。(「タッコング大逆襲」では郷の慢心、「恐怖の怪獣魔境」では郷と周りの隊員の軋轢と言うドラマがあったが、ウルトラマンが登場している間はそれらに触れられていない)
ウルトラマンの登場と共にドラマが終わってしまうのを今回は逆にウルトラマンの登場と共にドラマが始まるようにした。そして、ウルトラマンが登場した後もドラマが続く為にはウルトラマンが人間からかけ離れた神のような存在ではいけない。ウルトラマンは人間と同じように敗北を喫しなければいけなかった。

 

郷は特訓で流星キックを編み出すが、ウルトラマンならキングザウルス三世のバリアーを簡単に飛び越えられるのではないかと言う疑問がある。確かに予告では新しい必殺技を生み出すとあり、劇中でもジャンプ力を鍛えるとなっている。しかし、自分が考えるに郷が鍛えたのはジャンプ力ではなくて精神力の方だったと思う。
郷は「ウルトラマンが勝てないのなら俺が勝ってやる」と言っている。今までウルトラマンに変身した後はウルトラマンの意識が出ていたが、ウルトラマンは一度敗北した事でキングザウルス三世に恐怖を抱いたのではないだろうか。バリアーぐらい簡単に飛び越える事が出来るのかもしれないが、今のウルトラマンにはそこに踏み込む勇気が失われていた。そこで郷の意識がウルトラマンを後押ししてバリアーを飛び越えさせた。つまり、流星キックはウルトラマンと郷が力を合わせた結果、生まれた技なのだ。

 

今まで郷とウルトラマンの関係はハヤタ隊員と初代ウルトラマンと同じくらい切れた関係だったのだが、今回から郷の精神がウルトラマンの精神に影響を与えるようになった。又、今回から郷とウルトラマンは肉体的なダメージも共有するようになっている。

 

今回の郷は素手でキングザウルス三世に正面から飛びかかると言う無茶をしている。それを見た加藤隊長はさぞかし驚いただろうな。

 

 

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