帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怪獣総進撃」

怪獣総進撃 ー凶暴怪獣アーストロン オイル怪獣タッコング ヘドロ怪獣ザザーン登場ー
帰ってきたウルトラマン』制作第1話
1971年4月2日放送(第1話)
脚本 上原正三
監督 本多猪四郎
特殊技術 高野宏一

 

凶暴怪獣アーストロン
身長 60m
体重 2万5千t
朝霧火山に現れて口から吐く炎で付近の村を焼き払った。
ウルトラマンに角を折られてスペシウム光線を撃たれると火口に落ちて爆発した。

 

オイル怪獣タッコング
身長 45m
体重 2万3千t
地殻の変動によって目覚めた怪獣。
東京湾から上陸してザザーンを倒すが、ウルトラマンスペシウム光線を受けると海に逃げた。
タコの怪獣なのに足の数を増やさないデザインなのが印象的。
名前の由来は「タコの王」かな。

 

ヘドロ怪獣ザザーン
身長 50m
体重 1万2千t
タッコングと同じく地殻の変動で目覚めた。
東京湾から上陸するがタッコングに倒されてしまう。

 

物語
世界各地が異常気象に覆われ、地殻の変動によって怪獣達が復活する。
そんな中、子供と犬を助けようとして命を落とした郷秀樹はウルトラマンと出会う。 

 

感想
第1期ウルトラシリーズは漠然とした未来を舞台にしていたが、第2期ウルトラシリーズは現実と地続きになっていて、これまでとは違った雰囲気となった。

 

オープニング映像が『ウルトラマン』では怪獣が『ウルトラセブン』ではメカが中心だったのに対し『帰ってきたウルトラマン』ではMAT隊員が目立つ作りになっていて、第1期ウルトラシリーズが怪獣やSF要素からドラマを展開していたのに対し『帰ってきたウルトラマン』は人間からドラマを展開していく事が分かる。

 

MAT出撃と共に鳴らされる「ワンダバ」に気持ちが盛り上がる。
たくさんのバージョンが作られるが個人的には一番最初のワンダバが一番好き。

 

本物の怪獣が現れた事を知った次郎君は危険を冒して現場に向かう。子供ならではの好奇心だったのだろうけれど、そんな次郎君を連れ戻す為に郷も現場に行き、そこで子供と犬を助ける為に命を落としてウルトラマンと一心同体になり、さらに郷がウルトラマンになった事で坂田さんとアキちゃんが殺される事になる等、次郎君の軽率な行動は彼自身の運命を大きく変える事になった。

 

「女じゃ無理だよ」と今だったら問題になりそうな台詞を吐く郷。因みに丘隊員は剣道四段の上にMAT隊員でもあるので、ウルトラマンと一心同体になっていない郷より強いと思う。

 

少年と一緒に白い鳩を逃がす郷。白い鳩は平和の象徴なので、この後にウルトラマンと一心同体になって地球の平和を守る事になる伏線だったのかもしれない。
ところで、この時の少年は郷が生き返った事をちゃんと知らされたのだろうか?

 

死んだ郷に十字架を渡すアキちゃん。この場面は最終回「ウルトラ5つの誓い」で郷がルミ子さんに星のペンダントを渡す場面に繋がる。

 

自分は『ウルトラマン』の「ウルトラ作戦第一号」で「初代ウルトラマンは意思を持った光」と書いたが、今回のウルトラマンはまさに光として現れた。
ウルトラマン』のハヤタ隊員と初代ウルトラマンは「宇宙人との遭遇」だったが、郷とウルトラマンは「神との出会い」になっていた。(白い鳩や十字架と言った宗教的な要素もあるし)
それにしても、生き返った郷を見た看護婦さんはさぞかし驚いただろうなぁ。

 

ザザーンは第1話に登場していながらあまり話題にならない。タッコングを出さないでザザーンだけ暴れさせて、ザザーンが郷とウルトラマンが出会うきっかけの怪獣になっていればまだ話題になれただろうに……。

 

星占いをして「地球は呪われている……」と嘆く上野隊員。後のイメージと違った暗めのキャラクターに驚かされる。

 

怪獣の鳴き声を聞いて「誰かが俺を呼んでいる」と感じる郷。
実は怪獣アーストロンは郷を呼んではいなかったのだが、ここに『ウルトラマン』と『帰ってきたウルトラマン』の違いがあると言える。『ウルトラマン』では科特隊は怪事件を調査するのが目的で初代ウルトラマンも最初から怪獣を倒すつもりはあまり無かったが、『帰ってきたウルトラマン』ではMATは怪獣攻撃隊でウルトラマンも人類の自由と幸福を脅かす怪獣と戦う為に存在している。

 

アーストロンは『ウルトラQ』の放送第1話「ゴメスを倒せ!」に登場したゴメスに似たデザインとなっている。因みにアーストロンの着ぐるみは一度修正されているが、修正前の着ぐるみは腹部がもろにゴメスだった。

 

ウルトラマンのエネルギーは3分間しか続かない。カラータイマーが青から赤に変わると危険信号だ。ウルトラマン頑張れ!」。
ウルトラシリーズで有名な3分間の活動時間を伝えるナレーション。実は『ウルトラマン』では3分間について言及した事が無く、『帰ってきたウルトラマン』で初めて劇中で説明された。

 

郷がまだ承諾していないのに「今日からMATの一員になる」と紹介してしまう加藤隊長。坂田自動車修理工場での「来てくれるね」もだが意外と強引な人だ。郷が戸惑っているぞ。
この時の自己紹介で既に一癖ありそうな顔をしている岸田隊員が面白い。

 

ウルトラマン』の「ウルトラ作戦第一号」でも主人公のハヤタ隊員が命を落としているが、それよりも青い玉(ベムラー)の謎と打倒が話の中心になっていたのに対し、今回は主人公・郷秀樹の死が話の中心になっている。
かなりの情報が詰め込まれた第1話になっているが、これだけの情報量を破綻無くまとめているのは見事で、数あるウルトラシリーズ第1話の中でも屈指の出来と言える。

 

本編監督はなんとゴジラシリーズの本多猪四郎さん。今回のサブタイトルである「怪獣総進撃」もおそらくはゴジラシリーズの『怪獣総進撃』が元ネタだと思われる。

 

 

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