帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「地上破壊工作」

「地上破壊工作 ー地底怪獣テレスドン登場ー
ウルトラマン』制作第23話
1966年12月11日放送(第22話)
脚本 佐々木守
監督 実相寺昭雄
特殊技術 高野宏一

 

凶悪地底怪人地底人
身長 2m
体重 100kg
氷河期以前に地殻変動で地下4万mに潜った人類。
目が退化していて常にサングラスを掛けている。
地上に出て人間を奴隷にするべく地上破壊工作を行う。
仮眠マスクでハヤタ隊員の意思を消してウルトラマンを操り人形にしようとするがフラッシュビームの光で全滅してしまった。

 

地底怪獣テレスドン
身長 60m
体重 12万t
地底人の地上破壊工作の先兵。
口から炎を吐く。
ナパーム弾にも耐えたが、ウルトラマンの投げ技を連続で受けて倒された。

 

物語
科特隊パリ本部からアンヌ隊員がやって来てから奇妙な事件が続発した。
それらは全て地底人による地上破壊工作であった。

 

感想
クレジットは佐々木さんになっているが実際は実相寺監督が脚本を書いたらしい。1965年に公開されたジャン=リュック・ゴダール監督作品『アルファヴィル』の影響を受けたらしく印象的な映像が多く見られる話であった。

 

今回の話のテーマは「光」。
「影」を強調する演出が多かった事で逆に「光」の印象が強く残った。


細かい部分だが、科特隊日本支部は極東支部とも言うらしい。
おそらく「バラージの青い石」に登場したトルコ支部と「オイルSOS」に登場した中近東支部も名称は違っていたが実は同じ組織だったのだろう。

 

やはり危機管理がなっていない科特隊。
アンヌ隊員が仕掛けたケリチウム磁力光波発生装置によって東京一円の電波を妨害されてしまった。

 

今回の話でウルトラマンについて色々な事が分かる。
地底人の仮眠マスクでハヤタ隊員の意思が消されてもウルトラマンには影響が無かったので、ハヤタ隊員とウルトラマンは別人格である事が確認された。
又、ハヤタ隊員がウルトラマンに変身する時の光をフラッシュビームと呼ぶ事も判明した。そして、オープニングで毎回歌われているが、劇中では初めてウルトラマンが光の国の出身である事が語られた。ウルトラマンは宇宙人なのだが出身地を「◯◯星」ではなくて「光の国」とした事で神話的な要素が感じられるようになった。

 

テレスドンは街を破壊する攻撃力とナパーム弾に耐える防御力を見せたが、ウルトラマンとの戦いではカラータイマーも鳴らせず、投げ技のみで倒されてしまったので、いまいち凄さが伝わらなかった。
実相寺監督は『ウルトラマン』ではスペシウム光線を一度も使っていないのだが、今回は「光」がテーマだったので最後はスペシウム光線と言う「光」で決着を付けてほしかった。

 

悪魔はふたたび」に登場した福山博士が再登場している。『ウルトラマン』でゲストの再登場は珍しく、二つの話には何か関係があるのかと気になる。
実は今回登場した地底人は「悪魔はふたたび」でアボラスとバニラを封印したミュー帝国と同一なのではと言う説を聞いた事がある。(地底人もミュー帝国も氷河期以前に地上にあったと言う説明がある)

 

ウルトラマンパワード』の「闇からの使者」は今回の話のリメイクとなっている。