帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「虹の卵」

「虹の卵」
ウルトラQ』制作第21話
1966年5月1日放送(第18話)
脚本 山田正弘
監督 飯島敏宏
特技監督 有川貞昌

 

地底怪獣パゴス
身長 30m
体重 2万t
ウランを狙う原始動物で、数年前に北京郊外の地底から姿を現してウランの貯蔵庫を襲い、日本でも原子力発電所を有する産業都市を破壊した。
人間には金色の虹に見える分子構造破壊光線を吐く。
ネオニュートロンミサイルによってあらゆる組織を風化させられた。
フランケンシュタイン対地底怪獣』のバラゴンの着ぐるみを改造している。最初は「ゴメスを倒せ!」のゴメスを再登場させる予定だったが、ゴメスの着ぐるみが東宝に返却されてゴジラに戻されていたので代わりにバラゴンの着ぐるみを改造する事になったらしい。

 

物語
災いの徴と言い伝えられているさざめ竹に真っ白な花が咲いた。
かつては天明の飢饉、応仁の乱第一次世界大戦が起き、そして今度は……。

感想
ウランを狙う怪獣パゴスとそれに対抗してネオニュートロンミサイルを準備する人類と言うスケールの大きい戦闘話とお婆ちゃんの為に虹の卵を探すたんぽぽ団と言う身近な人情話が並行して描かれている。

 

同じ事件に遭遇していながら万城目や原子力発電所の関係者達と言った大人達とピー子率いるたんぽぽ団の子供達とでは金色の虹やウランカプセルに対する捉え方が全く異なっていた。
お婆ちゃんが「虹の卵と言うのは虹を見た子の心の中に生まれる美しい卵なんだ」と話したように、爆発したら大変な事になると大人達が心配するウランカプセルもお婆ちゃんの話を信じるピー子の心には何でも願いを叶えてくれる虹の卵に見えた。
金色の虹はパゴスが吐いた分子構造破壊光線で虹の卵もウランカプセルだったのが「現実」なのだが、最後にお婆ちゃんが再び立って歩けるようになり、それを見た由利子が「やっぱり、これ、虹の卵だったのよ」と言ったように、ピーコ達の心は「現実」を上書きするのであった。

 

今回の話は山田さんの『ウルトラQ』脚本最終作であり、又、今まで千束北男として脚本で参加していた飯島さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。