帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「東京氷河期」

「東京氷河期」
ウルトラQ』制作第15話
1966年4月3日放送(第14話)
脚本 山田正弘
監督 野長瀬三摩地
特技監督 川上景司

 

冷凍怪獣ペギラ
身長 40m
体重 2万t
南極の原子炉が爆発して氷が溶けたので北極に引っ越す事にして、その途中に東京に現れた。
冷凍光線で東京を氷漬けにするが、沢村照男が操縦するセスナの特攻で爆薬と混合されたペギミンHを受けて逃げ去った。

 

物語
東京が異常な寒波に襲われた。
万城目は1年前に南極で遭遇した怪獣ペギラの事を思い出す。

 

感想
ペギラが来た!」の続編で、万城目が南極でペギラと遭遇してから1年が経ったとなっている。

 

ペギラが南極を離れたのは原子炉の爆発で氷が溶けたからとなっている。その話の前に一平が南極でアメリカとソビエトによるウラン鉱採掘競争が繰り広げられていると言う新聞記事を読んでいるので、この原子炉の爆発も米ソ冷戦が招いたものなのかもしれない。冷たい戦争が南極温暖化を招き、最終的に怪獣によって世界各地が氷漬けにされてしまうとは手痛いしっぺ返しだ。

 

ペギラが来た!」と「東京氷河期」は「大切な人の消息を探しに来る」「大切な人がペギラによって命を落とす」と言う共通点があるが、「ペギラが来た!」の野村隊員は故郷の東京に帰れなかったが婚約者の手で南極の墓に故郷の土をかけてもらえたのに対し、「東京氷河期」の沢村は東京に出稼ぎに来て、息子の手で骨壺が故郷に帰されるとなっている。

 

冒頭で由利子が「詩人リルケは言ったわ。「僕にはただ死ぬ為にだけ集まってくる蟻のように見える」って。東京は苦い砂糖なのよ」と言ったように今回は地方から東京に出稼ぎに来た季節労働者の話となっている。
かつては零戦の名パイロットだった沢村は苦い砂糖の東京で挫折して遂に宝石泥棒に堕ちてしまう。「あんな東京なんか一回氷詰めになって消毒された方が住み良くなるぜ」と言う言葉から沢村が東京でどんな生活をしていたのかが分かる。戦争の時は命を掛けて東京を守ったのに戦争が終わるとその東京で苦しい生活を強いられる事になる。沢村は東京と言う街に自分の人生を否定されたと感じたのかもしれない。そんな沢村が再び東京の為に戦う決意をしたのは自分の息子の為であった。過去の栄光を失った沢村は自分の息子の未来を守る為に再び立ち上がった。

 

ペギミンHの効果が学会で公認されないから使えないと言う役所の回答に呆れて、こうなったら自分達の手でペギラを退治しようと行動を開始する関デスクが素晴らしい。

 

宇宙からの贈りもの」に続いて今回も星川航空に犯罪者がやって来る。万城目の怪獣と宇宙人と犯罪者との遭遇率が高すぎる……。

 

206便消滅す」でも書いたが1966年は飛行機事故が続発した為、今回の話も当初の予定を変更して放送される事となった。